【これから始めるPjM】守りたいベースライン3つ
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こんにちは、めけです。
(@Meke_korepro)

今日はPeerQuest社の代表を務めるまいどるさん(@maidol_28)主催の開発PM勉強会に登壇させて頂いたので、発表した内容を紹介するよ。

あぁ!あの”初心者向けPM大歓迎 プロジェクトマネジメントの「コツ」を知ろう“のイベントだよね。どんなお話をしたの?

プロジェクトリーダーとして守るべき3つの要点について失敗談を交えてお話したよ。ちなみに、他の登壇者の方々が発表されていた内容の紹介もするのでぜひ最後まで見てね。
プロジェクトマネジメントの形は、プロジェクトリーダーの数だけ..
でも、上手にプロジェクトを成功に導くプロジェクトリーダーには”成功の秘訣”がある!
この記事ではプロジェクトマネジメントを始めて間もないプロジェクトリーダーに向けて、プロジェクトマネジメントで押さえるべき要点について紹介します。
プロジェクトマネジメントを始めたばかりで、何を気にすべきか分からない..
同僚がプロジェクトリーダーになったが、何をサポートしてあげるべきか迷っている。
他のプロジェクトリーダーがどんな事を普段考えているのか知りたい!
もくじ
初めてだからこそ守りたい!ベースラインと呼ばれる3つの基準
PMBOKで紹介されている基準として、次の3つのベースラインがあります。
名称 | 意味 |
スコープ・ベースライン | What:このプロジェクトでは何をするのかを示す基準 |
スケジュール・ベースライン | When:いつまでにするのかを示す基準 |
コスト・ベースライン | How much:いくらでするのかを示す基準 |
上記3つを合わせて”パフォーマンス測定ベースライン“と呼んだりするのですが、大切なのは名称ではなく内容。
プロジェクトが達成すべき要件、スケジュール、予算を計画段階でしっかりと見定め、日々のマネジメントの中で計画から乖離し始めた時、原因を解消して是正する。
なんなら、必要に応じて先々の乖離を防ぐために予防する。
そういった細かな取り組みが、プロジェクト成功に直結します。

実際のプロジェクトマネジメント現場では様々な問題が発生するけど、解決の優先順位の立て方だったりはまた別の記事で紹介するよ。
ここからは各ベースラインに関連した失敗談のお話をします。
ぜひご自身のプロジェクトと照らし合わせて参考にしてみてください。
失敗談①:あぶない!それ、金メッキになってるよ!
誰からも承認されていない要件を勝手に取り込んでしまう行為を”金メッキ”と呼びます。
※ちなみに、似たような考え方に”スコープ・クリープ”がありますが、こちらは承認はされているけれど当初はなかった要件を取り込む行為を指します。
プロジェクトリーダーになりたての頃は、「とにかくお客様にとって最適なものを!」という社外向けの想いが強くなってしまうもの..
ちょっとした要望や課題を、「これくらいなら..」と簡単な気持ちで取り込んでしまっていませんか?

だって、お客様は嬉しいし、将来他のお仕事ももらえるかもしれないからWin – Winじゃないの!?
確かに、その可能性が全くないわけではありません。
でもお客様だって人間。
常に最適な要件が出せるわけではないし、実際には不要なケースもあります。
それに、取り込んだ結果、他の箇所に悪い影響が出てしまったり、お客様が「当たり前」だと思ってしまっていたら..

うぅ..確かに..目も当てられないね..
もし、その要件がお客様にとって、自分たちにとって凄く素敵な提案だったとしても、まずは影響を冷静に見直し、関係者とコミュニケーションを取った上で取り込みを検討するプロセスが大切です。
失敗談②:気付けばスケジュールが遅延..どうする?
メンバーから『進捗ですか?順調ですよ!』と言われたとき、そのまま『あぁ、大丈夫なんだ、じゃあ任せるね。』と詳細を放置してしまっていませんか?
気付いた時には進捗が思ったより進んでいない..メンバーの思い込みで手戻り作業がたくさん..なんてことも。
そうでなくともプロジェクトは当初考えてもみなかった理由で遅れてしまうもの。
そんな時に考えたいのがスケジュールリカバリ方法。
詳しくはこちらの記事で紹介しているので、お時間あればぜひ参考にしてみてくださいね。
失敗談③:赤字必至!?学生症候群の罠
最後にコスト関連のお話です。
学生症候群..別名「パーキンソンの法則」という言葉はご存知ですか?
これは、”人は最初に割り当てられたリソースを、意図せずとも全て使い切ってしまう“という性質を表す言葉です。

まいどるさんも言ってたけど、夏休みの宿題とか..まあ、残るよね。
筆者も数学の宿題が終わらずに指導室に呼び出されて気まずい思いをした経験がありますが..それはさておき。
プロジェクトマネジメントにおいて、各メンバーが担当しているタスクごとに”バッファ”を設けると、特に意識していなくともバッファは全て消化される事が多い印象です。
もちろん、あまりにも余裕のないスケジュールはメンバーのモチベーションを阻害する要因になります。
ただ、コストにも限りがあるのがプロジェクト。
必要以上のコストはプロジェクト全体の共有資産として管理できるよう、メンバーの方々と相談してバッファ管理を行う事が大切です。

決してメンバーからバッファを取り上げているわけではなく、後々本当に必要な人にリソースを割くための工夫である事はしっかりと伝えてね。
組織として大切な価値の共有とアジリティの向上

ここからは開発PM勉強会に登壇されていた他の方々の発表内容をボクたちなりの見解で紹介するよ!まずはsweeep社のCTOを務めるhirac(@kimi_hira)さん!
プロジェクトリーダーとして、プロダクトないしはプロジェクトの価値をメンバーと共有するのはとても大切な事。
ましてやそれが会社規模のお話になるとなおさら。
まずはしっかりと“MVV”を関係者と共有し、その先の未来を想像させる事がとても重要です。
名称 | 概要 |
Mission | 自分たちが負うべき責任は何か? |
Vision | Missionをクリアした先にどんな世界を創造したいのか? |
Value | 具体的にはどんな価値を共有できるのか? |

全員のベクトルを合わせておけば、ちょっとした問題なんて苦にならない事もあるよね!
加えてhiracさんが大切だと教えてくださったのが”アジリティの向上“に関する内容。
※アジリティ:目まぐるしく変わるビジネス環境に対応するために必要な組織やプロジェクト運営のあり方における機敏性。
スタートアップ企業のように資金が枯渇する前にビジネスをスケールさせる必要があるケースにおいて、次々に状況に適合できる強い組織をつくるのは必須の要件。
そんな中でhiracさんが取り組んだ施策が次の4つ。
いずれも組織運営やプロジェクトマネジメントにおいて参考になる素敵なアイデアです。
- スクラム開発による細やかで機動力のある開発手法の採用
- バーチャルオフィスによるリモートでの壁を感じさせないコミュニケーション体制の確立
- 週次でのKPT(Keep:続けるべき成果、Problem:解消すべき問題、Try:問題の解決方法やチャレンジしたい事)振り返り
- スキーマ駆動による開発労力の軽減
プロジェクトマネジメントでやらないこと7選

お次はとある事業会社の社内IT担当を務める佐々木(@moto_ssk)さん!
プロジェクトマネジメントにおいて自分なりの指針を持っておく事は、自身のリーダースキルを向上させるだけではなく、日々の失敗をすぐに次に活かすためにとても大切です。
佐々木さんが紹介してくれたのは、そんな”自分なりの指針を持ちたいプロジェクトリーダー”を助けてくれるトピックス。

具体的には次の7つの”やらない”を紹介してくれたよ!
やらないこと | 概要 |
1.不安にさせない | 素早いレスポンスや状況の透明化による不安の排除 |
2.御用聞きにならない | 目的や本質を意識した物事の解釈 |
3.曖昧なまま進めない | 前提や用語の定義をしっかり共有(オススメは図解による共有) |
4.勝手に決めない | 仕様や期日、優先度はみんなで決定 |
5.話すだけで終わらない | 小さなお話も記録して共有/活用 |
6.定数にこだわらない | 自身が関与できる事柄に集中 |
7.ネガティブにならない | ときには楽観的かつ貪欲な姿勢 |
あなたは何を軸にプロジェクトを支えますか?
SL理論で考えるリーダーとしてのあり方

最後にあの!日本PMO協会の代表を務める伊藤 大輔(@i_love_pm)さん!

伊藤さんはYoutuberとしてもご活躍されていて、プロジェクトマネジメントに関するたくさんのノウハウを紹介してくれているよ。ぜひI LOVE PM/プロジェクトマネジメント専門チャンネルを覗いてみてね。
まず、マネジメントとリーダーシップの概念について。
“マネジメント“とは、ビジネスの目的を達成するために必要な計画立案だったりリソースの適切な再配置、ルールを逸脱した際の是正措置の検討など”ビジネスを効率化するための箱を作って管理/運営する“事が主軸になります。
一方、”リーダーシップ“はビジネスの目的やビジョンを共有し、メンバーとのコミュニケーションを経て推進力を高め、前提と制約の中で効果的に成功へ導くといった”作られた箱に中身を入れて実際に意味あるものとして利用する“事が主軸になります。
特に、プロジェクトを成功させるための5大要素として紹介されていたのが次の要素。
名称 | 概要 |
知識/技術/組織 | ビジネスの目的を達成するために必要なもの |
モチベーション | 知識や技術を使って目的を達成するチームの意思 |
リーダーシップ | メンバーのモチベーションを引き上げる旗振り役 |
コミュニケーション | リーダーシップを発揮する上で必要な発信力や傾聴力 |
チームビルディング | コミュニケーションの活性化で生まれるチームの生産性向上 |

これらの要素は円のように繋がっていて、くるくる回りながらどんどん規模を拡大していくよ!
合わせて伊藤さんがご紹介してくださっていた”明日から使える人材育成術”としてSL理論を紹介してくれました。
スキル低 | スキル高 | |
モチベーション低 | ①指示型:次にすべき事をしっかりとメンバーに共有するのが大事。 | ③支援型:適切なタイミングで手を差し伸べ、承認するのが大事。 |
モチベーション高 | ②コーチ型:まずは自ら考えてもらい、こちらは目的に向かうサポートに徹するのが大事。 | ④委任型:メンバーを信頼し、求められたときにしっかりサポートするのが大事。 |
基本的に”この人にはずっとコーチ型”といった決まったリーダーシップを発揮するのではなく、表内の番号のとおり「指示型→コーチ型→支援型→委任型」と同じメンバーに対する接し方が変わるのが自然な流れになります。
メンバーの役割が変わり、また新たなスタートを切った際には指示型に戻るため、再度委任型を目指してスキルやモチベーションの向上をサポートしましょう。
まとめ

ひとくちにプロジェクトマネジメントと言っても、人によって考え方や方法は様々なんだね。

そうだね。型にハマらない分、実際のマネジメントは凄く難しいわけだけど..”manage”という言葉が本来示すとおり”なんとかしてうまくやる”が実現できたときの達成感は何にも代えられない貴重な経験だと思うよ。そういった貴重な経験に繋げるためのきっかけをくれたまいどるさんには感謝しないとね。
プロジェクトマネジメントに初めてふれる方にとっては、不安で胸を押しつぶされそうな人だっているはず。
でも、”自分自身がワクワクするような何かを生み出すきっかけになれる“のは普通の人にはできない素敵な経験です。
プロジェクトは不確定で当たり前。
そんな不確定要素をひとつずつ取り除いて、パズルのように最後の1ピースがはまった瞬間はとても面白いものです。

最後に、わたしがプロジェクトリーダーとして大切にしている思想を紹介します。
リーダーシップ:プロジェクトを主導し、目指すべきゴールへクライアントやメンバーを連れていくチカラ。
オーナーシップ:プロジェクトで起こり得る事を自らの責任として認識し、主体的に取り組むチカラ。
ラストマンシップ:自らを”最後の砦”とし、プロジェクト/プロダクトの品質を守るチカラ。
これらはなにもリーダーだけが持つべき思想ではないのですが、プロジェクトを主導する者として、ぜひ心に留めておいてください。
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