ついに出た!さくっと分かるPMBOK第7版の変更点【若手リーダー必見】

テクニック

この記事は読むのに 8 分くらいかかります!

こんにちは、めけです。
@Meke_korepro

2021年7月4日、米国PMI本部よりPMBOK最新版である第7版がついにリリースされました。
日本語版の提供はまだ先になりますが、まずは英語版PMBOKや海外文献も参照しつつ、分かっている情報をご紹介します。

ぷろたろ
ぷろたろ

構成が随分変わってるね..せっかく第6版で勉強したのに..

めけ
めけ

構成は変わりましたが、気にすべき観点はそれ程変化していないので安心してくださいね。

第5版まではウォーターフォール型開発と呼ばれる「要件定義、設計、製造、テスト」の各工程を順番に進める方式に主眼を置いたつくりとなっていました。

第6版になってアジャイル型開発の考え方が用いられるようになり、今回第7版になって最新の開発手法にも対応できるよう「どうやって進めるのか」より「何を大切にすべきなのか」といった原理・原則に主眼を置いたつくりとなりました。

この記事では、第6版と第7版の違いも踏まえ、第7版の最新情報を紹介します。

PMBOK第7版になって何が変わったのか知りたい!
今のプロジェクトにどう使えそうなのか知りたい!

第6版と第7版の違いは?

  • プロセスではなく、”原理・原則”重視に変更!
    それに伴いITTOの記述も排除!
  • 成果物ではなく、”価値”重視に変更!
  • 10の知識エリアではなく、8つのパフォーマンス領域に変更!
  • 5つのプロセス群ではなく、12のプロジェクト価値提供における原理・原則に変更!
  • テーラリング、モデル/手法/成果物、価値提供の流れが個別に定義!

個人的に一番大きな変化だと感じているのが、プロジェクトが関係者に提供する“価値”が大きく取り上げられた点でしょうか。

PMBOK内には「Value is the ultimate indicator of project success.(価値はプロジェクト成功の究極の指標である。)」という文言も記載されています。

価値創造の為にプロジェクトリーダーは何に注意を払い、何を軸としてプロジェクトを遂行すべきなのか、が今回のPMBOKにおける主題といえるのでしょう。

8つのパフォーマンス領域って何?

米国PMIでは「8 Performance Domain」と定義されます。

ここでは「プロジェクトでは何を気にすべきなのか?」に着目し、プロジェクトを進める上で知っておきたい『8個の領域』が紹介されています。

PMBOK第6版では「統合/スコープ/スケジュール/コスト/品質/資源/コミュニケーション/リスク/調達/ステークホルダー」と10個の知識エリアが定義されていましたが、構成が再編された形になります。

以下、PMBOK第7版上での定義を日本語訳として記述したものです。
 

ステークホルダー ステークホルダーに関連する活動や機能を取り扱う領域です。
チーム プロジェクトチームに関連する活動や機能を取り扱う領域です。
開発アプローチとライフサイクル プロジェクト開発手法/ケイデンス(報告頻度)/プロジェクトライフサイクルに関連する活動や機能を取り扱う領域です。
計画 プロジェクトを遂行する上で必要な要素(コストやスケジュール、その他全般)の計画に関連する活動と機能を取り扱う領域です。
プロジェクト作業 プロセスの確立、リソースの管理、教育環境の構築などに関連する活動や機能を取り扱う領域です。
納品 顧客の要求を満たした成果物を提供するための活動と機能を取り扱う領域です。
測定 プロジェクトの作業パフォーマンスに対する評価や、必要に応じて行われるプロセス改善に関連する活動と機能を取り扱う領域です。
不確実性 リスクや、プロジェクトを取り巻く不確実性に関連する活動と機能を取り扱う領域です。

12のプロジェクト価値提供における原理・原則って何?

米国PMIでは「12 Project Delivery Principles」と定義されます。

ここでは「プロジェクトで何(価値)をつくるのか?」「プロジェクトをなぜ(目的)始めるのか?」に注目し、プロジェクトを進める上でリーダーが従うべき『12個の原理・原則』が紹介されています。

PMBOK第6版では「立ち上げ⇒計画⇒実行⇒監視・コントロール⇒終結」といったウォーターフォール型に即した5つのプロセス群が定義されていましたが、昨今のプロジェクトはアジャイル型を始め開発手法も様々です。その為、変わりゆく開発プロセスにも柔軟に対応できるよう、いかなる場合でも準拠すべき『原理・原則』が定められました。

以下、PMBOK第7版上での定義を日本語訳として記述したものです。
  

スチュワードシップ プロジェクトリーダーは、自ら責任を持って行動し、社内外のガイドラインを遵守しながら、誠実さ/配慮/信頼性を意識した活動を行うことが求められます。また、プロジェクトを通して財務的/社会的/環境的な成果を挙げられるよう尽力する姿勢も必要です。
チーム プロジェクトチームは、様々なスキル/知識/経験を持った人たちで構成されています。共同作業を行うプロジェクトチームは、個人で作業するよりも効果的かつ効率的に共通の目的を達成することができます。
ステークホルダー プロジェクトの成功と顧客満足に貢献する為、必要な範囲で積極的にステークホルダーを巻き込む姿勢がプロジェクトリーダーには求められます。
価値 ビジネスの目的/利益/価値に対してプロジェクトの整合性を継続的に評価し、必要に応じて調整/改善する必要があります。
システム思考 プロジェクトのパフォーマンスにプラスとなるよう、プロジェクト内外で常に変わりゆく状況を自発的に把握し、評価する姿勢が求められます。またプロジェクトに影響を及ぼすと判断される場合には、適切な対応を施すのもプロジェクトリーダーの役割のひとつです。
リーダーシップ 個人とチームのニーズを達成する為、率先してリーダーシップを発揮し、プロジェクトを導く事が求められます。
テーラリング プロジェクトの背景/目的や、ステークホルダー/ガバナンス/環境に基づき、価値の最大化/コストの管理/スピードの向上を図る必要があります。求めている結果を実現するために“必要十分な”開発アプローチ、プロセスを検討する必要があります。
品質 ステークホルダーの要求を満足させる成果物を作り、プロジェクトの目的を達成する必要があります。
複雑性 プロジェクトには様々な要因が複雑性を持って関係し合っています。それらを継続的に評価し、チームがプロジェクトライフサイクルを円滑に進められるような計画や方法を検討する必要があります。
リスク プロジェクトに対する機会(プラスのリスク)と脅威(マイナスのリスク)を継続的に評価し、対応策を検討する必要があります。機会であれば最大限に享受できる方法、脅威であれば最小限の影響に留める方法を検討します。
順応性と柔軟性 組織やチームの適応性/回復力を継続的に評価し、必要に応じて強化を行います。変わりゆく環境の中で発生し得る意図しないアクシデント/変化に柔軟に対応し、プロジェクトの作業を継続できるようにする事が目的です。
変化 プロジェクトをあるべき姿にもっていく為、新技術や異なる考え方/プロセスを積極的に採用する姿勢が求められます。また採用する上で障壁となり得るステークホルダーや前提/制約事項に対する対応策も合わせて検討する必要があります。

価値提供の仕組み

PMBOK第7版のプロジェクトマネジメント標準では、価値提供の大きな流れについて記述されています。

今回の改訂における要旨ともなり得る大切な概念なので、合わせてご紹介します。
 

  1. 環境や組織の状況を踏まえ、戦略を策定する。
  2. 戦略の実現に向け、リソースの配分を決める。
  3. 使えるリソースを活用しながら、プロジェクトを遂行する。
  4. 運用で得られたフィードバックを活用し、戦略の変更やプロセスの改善を行う。

 
余談ですが、私個人の見解として、ITILで定義される考え方に近いのかもしれませんね。

  1. [サービス戦略]環境や組織の状況を踏まえ、戦略を策定する。
  2. [サービス設計]戦略を実現する為の仕組みを考える。
  3. [サービス移行]考えた仕組みを作り出し、運用できる状態にする。
  4. [サービス運用]実際に運用してみる。
  5. [継続的なサービス改善]運用で得られたフィードバックを活用し、戦略の変更やプロセスの改善を行う。
ぷろたろ
ぷろたろ

ITILはPMBOKに先立って『価値提供』に目を向けていたのかもしれないね!

まとめ

PMBOK第7版では、第6版に比べ大幅な構成変更が行われました。

ただ、プロジェクト管理を行う上で必要な観点(スコープやスケジュールなど)が変わったわけではありません。

採択した開発アプローチに対しても、原理・原則を基にプロジェクトが円滑に回るかを検討すれば良いという点では非常に時代に即した改変といえるでしょう。

今後はPMBOK第7版で得られる知識やノウハウも活かし、若手リーダーが自信をもってプロジェクトに取り組めるよう、わたしなりのプロジェクト管理術を体系化していきます。

この記事が参考になった!という方は是非コメント、フォロー頂ければ幸いです。