リーダーの心理学【交渉/説得で使いたい4つの心理効果】
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こんにちは、めけです。
(@Meke_korepro)

いつもお客様との交渉で思った結果にならない..みんなどうやって自分の提案を通しているの?

交渉の場や、誰か説得する時に使える心理効果があるよ。
メンバーのモチベーションを高める、お客様や上司の信頼を獲得する、要件定義を始めとした打ち合わせを有利に進める..
スコープマネジメントやスケジュールマネジメントなど、基礎的なプロジェクト管理技術を身に付けるのも有効ですが、ときには他の分野が役立つことも。
この記事では『プロジェクトリーダーが知っておきたい心理効果(交渉/説得編)』を実践例と合わせて紹介します。
プロジェクト管理を行う上でのコミュニケーションスキルを高めたい。
顧客との交渉や、関係者の説得に使えそうな心理学スキルを身に付けたい。
もくじ
モチベーション管理で使いたい心理効果BEST4

まずは実践例を紹介する前に、対象となる心理効果を一覧にまとめてみました。
名称 | カテゴリ | どんな効果? |
プライミング効果 | 交渉/説得 | 広告や、一見無関係に思える事柄を先に視認する事で、後の行動や判断に影響を及ぼす心理効果。 |
ピークエンドの法則 | 交渉/説得 | 最も感情が高ぶった瞬間(ピーク)と、最後の瞬間(エンド)がその経験の印象として残る心理効果。 |
メラビアンの法則 | 交渉/説得 | 視覚や聴覚だけで話の説得力が増す心理効果。 |
ゴールデンサークル理論 | 交渉/説得 | 動機や目的に働きかけることで相手の自発性を生む心理効果。 |
心理効果を使った実践例

ここからは、それぞれの効果について「プロジェクトを運営する中でどう使えるのか?」を紹介します。
プライミング効果
広告や、一見無関係に思える事柄を先に視認する事で、後の行動や判断に影響を及ぼす心理効果です。
ところで、あなたがお客様の立場だとすると、次のどちらのケースで商品を買いたいと思いますか?
- 営業社員がお客様と話している動画が再生され、その中でお客様に対して何度も頭を下げて謝っている。動画を再生した後、営業支援ツールのお話を始める。
- 簡単な挨拶を済ませた後、早速営業支援ツールの機能や価格に関する案内を始める。
おそらく、Aを選択する方も多いのではないでしょうか。
プライミング効果は上述の通り、本論を想起させたり、直接は想起できなくとも強い関心を持たせるような事柄を前もって視認させる事でその後の交渉を有利に進めるための工夫になります。

特に映像でのインパクトって凄いよね。見ている人はいろんなストーリーを考えてしまう..
実践例① 要件定義を行う前に、相手の職場の状況や想いについて具体的に話し、理解を深めた上で本題に臨む。 実践例② 事前に職場見学をさせて頂いた上で、案内をしてくれた方を交えて商談を行う。 実践例③ 過去のプロジェクトにおけるお客様の声を開示した上で、新規プロジェクトのキックオフに臨む。
ピークエンドの法則
最も感情が高ぶった瞬間(ピーク)と、最後の瞬間(エンド)がその経験の印象として残る心理効果です。
交渉相手は、あなたの話を最初から最後まで集中して聞いているわけではありません。
話を聞きながら頭の中で要約をしていたり、意見の吟味をしていたり、はたまた全く関係のない事を考えていたり..
また仮に集中して全体を聞いていたとしても、後から振り返ってみて覚えている事はどうでしょう?
本当に重要な事柄と、最後に何を話していたか、くらいしか覚えていないのではないでしょうか?
これがピークエンドの法則と呼ばれる心理効果になります。
実践例① 説明資料上で「最も伝えたい事」、「最後のまとめ部分」については他の箇所より装飾を加えて伝わりやすくする。 実践例② 話の要点を伝えるに際し、「ここが最も大事なところなのですが..」と前置きをする。
メラビアンの法則
視覚や聴覚だけで話の説得力が増す心理効果です。
比較的有名な法則なので、知っている方も多いかもしれませんね。
具体的には、人が話を聞くときには次の割合で話の理解をしていると言われます。
55:38:7=視覚:聴覚:言語
視覚とは表情やジェスチャー、装いといった“目で見て分かる”事。
聴覚とは声のトーンや大きさ、話のスピード感や間の取り方といった“耳で聞いて分かる”事。
言語とは話の内容そのものや、使われている用語といった“頭で考えて分かる”事。
理論立てて物事を話すのはとても大切な技術です。
ただ、意外と話している内容よりも視覚的な部分や聴覚に訴える話し方が相手に対する印象を大きく左右する点にも注意しましょう。

外見がしっかりしている人とか、ハキハキと説明をしてくれる人には無意識に「信頼できる人だ!」って思っちゃうかも。
実践例① 無地の赤いネクタイを身に付けて主導権を得やすくしたり、オーダースーツや真っ白のワイシャツなどで清潔感を演出する。 実践例② 交渉/説得相手の話のスピード感や間の取り方を真似て話してみる。 実践例③ 話したい内容は可能な限り手短に、分かりやすい内容に置き換える。
ゴールデンサークル理論
動機や目的に働きかけることで相手の自発性を生む心理効果です。
サイモン・シネック氏が提唱する「”Why”からはじめる事の重要性」を説いた理論で、こちらもご存知の方がいらっしゃるかもしれませんね。
実践例① 商品やサービスの要件を決めるに際し、その要件が必要な理由をしっかりと共有する。 実践例② メンバーや後輩に対して指導をする場合に、「なぜ必要なのか」を伝えた上で今後の方針について話し合う。
利用時の注意

心理効果を用いる際は、下記の点に注意して利用するようにしましょう。
心理効果にばかり頼らない
今回ご紹介した心理効果は、「こちらの意図が伝わりやすくなるよう誘導する」または「対象者の自発的な理解を促す」ことを目的としています。
本来は説得/交渉において必要となるのは“相手の想いを理解し、真摯に向き合い、より良い方法を提案する”といった原則に基づく考え方です。
心理効果を用いて事を有利に進める事はできるかもしれませんが、それがトータルで見て相手にとって良い結果に繋がるのかは心に留めておくようにしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
コミュニケーションが9割ともいわれるプロジェクト管理において、心理効果は使いようによって強い味方になってくれる事があります。
積極的に取り入れながら、上手にメンバーや顧客との信頼を育てましょう。
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